超A級一寸法師!?
一寸坊13
詳細データ
・契約金はドイツの口座に入金しなければならない。
・トラフグの毒を塗った縫い針が主兵装。
・必殺の一撃を放つ時の決めゼリフは「縫い殺すぞ!」
プルルルル、プルルルルルル
プルルルル、プルルルルルル
ガチャ。
一寸坊「……」
大家「あ、一寸坊さん、三ヶ月前から家賃滞納さ…」
がちゃん。
一寸坊「……」
ピ~ンポ~ン♪
来客「一寸坊さ~ん、依頼したいのですが~」
一寸坊「む…」
素早くドアの前に移動する一寸坊。
ドアノブに手を掛け、一気に開け放つ!
ザシュ!
来客「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁっ!!」
一寸坊「…俺のドアの前に立つな。」
元・来客「……」
一寸坊「……」
一寸坊は無言で元・来客が握り締めていた紙切れを拾い上げ目を通す。
そこには…
Dear一寸坊様
姫からの依頼だよ♪
一寸坊様がこれを読まれているという事は
遣いに出した執事が蘇生不可能領域に達した事と思います。
良い執事だっただけに残念です。ぐっすん。
前置きはこの位に致しまして、本題に入りたいと思います。
近頃、どういう訳かトラ縞パンツ一丁の鬼が1匹で暴れていて迷惑です。
サツの手に委ねても良いのですが、
それでは腹の虫が収まりそうにありません。
変態に死を!
むかっ腹なので
絶対かつ、不可侵な死を望みます。
あなたのパトロン姫より
との文字が躍っていました。
それを読んだ一寸坊は紙切れを丸めて元・執事の口に詰め、
ガソリンを掛けて火を点けました。
隣近所が慌てているのをよそに、一寸坊は部屋に戻りパソコンを立ち上げ…
一寸坊スペシャルシステム普天間スペシャルより
姫タン@穀潰しへ
お手紙ありがたく食べました。執事が。
ご依頼の件ですが、受けても構いません。
但し、鬼に黄金の鎧を装備させて下さい。
パンツはブリーフでないと御依頼の件はキャンセルさせて頂きます。
悪しからずご了承下さい。
というメールをどこかに向けて送信しました。
部屋の外では死体の火を消し終わった人たちが大騒ぎしています。
一寸坊「……」
電話を手に取った一寸坊がボタンを幾つか操作し始めると部屋の各所で赤いランプが点滅を始めました。
床下の秘密の抜け穴から一寸坊が脱出した30分後、一寸坊の居た街は跡形も無く消し飛びました。
メールを受け取った姫は困りました。
マッスルバディ爺「どうした嗅ぐや姫?」
唾吐き婆「そうですよ、吐いた唾は飲んじゃ、だめですよ?」
嗅ぐや姫「おじぃ様、おばぁ様。実はこんな臭うメールが届きまして……」
……
マッスルバディ爺「これは香しい!!」
唾吐き婆「食べちゃいなさい!」
とまぁ、こんな風に時と場所を隔てたあらゆる姫に届いたこのメールは後々
『一瞬坊からの香ばしい恋文
~死の香りぷんぷんメール~』
と呼ばれ、恐れ親しまれたそうです。
浮かんでも消える~♪
さて、メールを受け取った執事の送り主たる姫も困っていました。
姫「困ったわ。
今月はお小遣いなしが政策で決まっちゃったから黄金の鎧なんて買えないわ。
ジィ、どうにか致せ!」
ジィ「既に手は打って御座います。」
姫「流石はジィ、伊達に都市伝説に出てはおらぬな。」
ジィ「都市伝説に出た事は御座いませぬが…」
姫「わらわが間違えておると?打ち首獄門で即席都市伝説に出さねば分からぬか?」
ジィ「いえ、このジィ都市伝説に出ております!忘れてましった!!」
姫「そうか、なら良い。」
与作「姫、たった今一寸坊様がご到着なさいました!」
一寸坊「気配悟られた…ショック。」
姫「おお、よく参られた!早速じゃが、鬼めをくびり殺してくれんか?」
一寸坊「その前にこちらの条件は守られたのであろうな?」
姫「勿論じゃ。のぅ、ジィ。」
ジィ「多少の変更は御座いましたが、お望みの装備をさせまして御座います。」
一寸坊「多少の変更?」
ジィ「はぃ。おぃ、与作。鬼をこれへ!」
与作「はっ!」
与作が懐から出したアヒルちゃん笛を勢いよく吹くと……、
与作の立っている畳の下から鬼が勢いよく飛び出しました。
与作、2階級特進。
出てきた鬼は
ロトの鎧(上半身)フンドシ(下半身)といういでたちに、
釘バットを装備していました。
そのあまりの男らしい装備に姫は一目惚れしました。
一寸坊「釘バット超こえー」
と言いながらも超A級の座を死守すべく鬼の口に飛び込みました。
しかし、胃の中でいくら暴れようと
「トラフグ好きですが、躍り喰いはもっと好きです」
と鬼に大絶賛される始末。
仕方ないので一寸坊はそのまま鬼の参謀として鬼の体内に住み込みアルバイトを始める事にしました。
鬼「さて邪魔者も居なくなった事だし、打ち出の小槌を出して貰おうか!」
それを聞くや否や姫は傍に居たじぃを
亜高速で打ち倒し
血の着いたゴルフクラブを畳の下に隠しました。
この間わずか0.05秒でした。
そして仏の笑顔を顔に張り付かせてこう言いました。
はぁ~ぃ、あ・な・た(はぁと
これには流石の鬼も空恐ろしいモノを感じましたが、ここでたじろいでは悪役の名折れ。
何も無かったかの様に振舞う事にしました。
鬼「ふふふ、未来流四次元ポケットには及ばんが、我が野望には十分だ!」
その後鬼は大金をはたいてロケットを作り、ロケットの解体・組み立てを一生懸命に繰り返しました。
『このご主人萌え萌えだぜ!』
と思った一寸坊は今一度鬼の顔を見るために鬼の口から這い出ました。
一寸坊の存在を忘れていた鬼は驚き釘バットで一撃しました。
一寸坊最後の言葉は
「釘バット超痛ぇ」
でした。
これを見た姫は
『三角関係でドギマギハラハラのチャンスが断たれた』
と鬼に絶縁状を叩き付けました。
同じく柱の影で見ていた一寸坊の弟、二寸坊はその男らしい一撃に惚れ、
もう一度その一撃を見るために核戦争を仕掛けました。
後の世に炎の七日間戦争と言われる戦争でしたが、それはまたの機会にお話しましょう。
EDテーマ『星屑の英雄は天の川で水死体・迷宮入りver』